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 「世界文化遺産」地域連携会議 H24年度総会 議事録(2012・7・5:霞が関ナレッジスクエア・スタジオ)





 (井戸:お世話役) 

皆様こんにちは。会のお世話役の1人、歴史街道推進協議会の井戸でございます。本日は開会が少し遅れ、また私どもの不手際で間際になって会場が変更になるなど、大変ご迷惑をおかけいたしました。迷われた皆さん、そしてまだ、どこかで迷ってらっしゃるかも知れないメンバーの方(笑)に、心からお詫びを申し上げます。

それではこれから、平成24年度「世界文化遺産」地域連携会議の総会を開催させていただきたいと思います。開会のご挨拶と会の進行は、会の会長である門川京都市長にお願いいたします。


(門川会長:京都市長) 

皆さんこんにちは。

 会長をせよということで井戸さんの命令でやっております(笑)、京都市長の門川大作です。
国会や文化庁、観光庁を回り、その後、記者会見をやっておりました関係で開会が遅れ、申し訳なく思っております。

 さて、会の発足から1年、今年も世界文化遺産関係の市町村長、そして各地で力強く関係の活動をされている方々にこうやって集って戴きました。本当に有難うございます。

1年前の発足会の場で、個性あふれる地域が集まるこの会で大事なのは、積極的に知恵や情報を交換し、全地域に共通する「世界遺産を未来にきっちりと継承していく。そのために何をすべきなのか」。そんなテーマを真剣に議論していくことではないかと申し上げました。

「文化財の保全と観光を両立させよう」「国はどうしても縦割りになりがちじゃないか?地域から様々な政策を提言し、そういった状況に一緒になって風穴を空けて行こう」あるいは「プロジェクトによっては、同じような問題を抱える数カ所が、地理的には離れていても協力してその問題に取り組んでいけばいい」といった意見がたくさん出されました。

 あれから1年がたちました。本当に率直に言いまして、限られた資金しかない中、この会が様々な地域、立場の方々がお互い理解しあい、実現可能なものを形にしていくための「プラットホーム」になりつつある。このように私は感じております。

皆様のご協力に御礼申し上げるとともに、事務局役をつとめて下さっている井戸さんはじめ多くの方々に心から感謝する次第です。

今日はこの会に先立ち、各市町村長の皆さま方と関係する省庁や議連への要望、報告に伺ってまいりました。「超党派の議連を作っていこう」「イタリアのような特別な法制度を作ろう」といった心強い意見がありました。しかし一方では、国の財政が非常に厳しく、また東日本大震災もあった。すぐに予算というのは大変難しい。それを確保していくにはより一層、その重要性や必要性を訴えていかないといけない。そんなことも感じました。

 さて、今日はまずこの1年間の活動報告を聞いて戴き、次のステップに向けて、皆さまにご意見、アイデアを出して戴ければと思います。交流会も含め、できるだけ多くの方々のご発言いただきたいと思っております。昨年も11人の時間は短縮して、全ての参加者の皆さんにご発言いただきましたが、そんな感じで行きたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

また、この総会の最後には、ユネスコの前事務局長で本協議会の顧問をお願いしております松浦晃一郎さんのお話があります。楽しみです。

今年はユネスコの世界遺産条約40周年で、その国際会議を日本に誘致することができました。そういったこともきっかけにしながら、歴史を刻み、責任を果たしていきたいと思います(拍手)。

それではここからは会の進行の方をやらせていただきます。
 出席者ならびに新メンバーの紹介を井戸さんの方よりお願いします。

 

(井戸)

まず本日のご出席者ですが、交流会も含め、資料2P、3Pのようになっております。お一方ずつご紹介すべき所ですが、時間の都合もありますので、ここでは役員、ご来賓の皆さまをご紹介させて戴きます。

  門川会長のお隣が会の顧問にご就任いただきました、前ユネスコ事務局長の松浦様でございます(拍手)。
 次に門川会長に向かって左側が副会長の仲川・奈良市長でございます(拍手)。

 そのお隣が、同じく副会長の斎藤・日光市長でございます(拍手)。
 そして、その左におられますのが幹事で南砺市の田中市長(拍手)。
 そして一番左が初参加の平泉・菅原町長でございます(拍手)。

 さらに2列目にいらっしゃるのが、民間幹事の工学院大学の後藤先生・・・ちょっと遅れられているみたいですね。同じく民間幹事のNPOグローバルキャンパスの大社理事長でございます。

そして、資料では3Pの下側、会場正面右側にいらっしゃるのがご来賓の皆さまです。国土交通省審議官の毛利様(拍手)、国土交通省景観・歴史文化環境整備室長の上野様(拍手)でございます。なお、観光庁審議官の志村様ですが30分ほど遅れられるとのご連絡をいただいております。また、文化庁の小林世界文化遺産室長様ですが、残念ながら世界遺産会議の関係で海外に行かれることになりまして、本日はご欠席ということになっております。 

次に資料4Pをお開き下さい。

昨年度の総会以降、新たに会にご参画いただいている方々は松浦顧問、また菅原町長はじめ、4Pに記載された皆さまでございます。今日ご出席の6名の皆さまをご紹介させて戴きます。できましたらご起立をお願いします。

地球の歩き方、植木さん(拍手)。
 音楽家でユネスコ平和芸術家の城之内さん(拍手)。
 早稲田大学アジア太平洋研究センター、高橋さん(拍手)。
 京都駅ビル、奈倉さん(拍手)。
 旅行読売の宮本さん(拍手)。
 そして最後がフォーリンプレスセンターの矢野さん(拍手)でございます。

なお、6月末日時点でのメンバーリストはこの資料最後のPに掲載させて戴いております。
 ご紹介の方は以上です。

 
 (門川会長)

 新しく入っていただいた方々、どうぞよろしくお願いいたします。それではできるだけ簡潔に議事をすませたいと思います。
 議案の1・2、昨年度どういうことをやったか、また決算はどうだったかを井戸さんより説明して下さい。

 
 (井戸)

 (議案1)平成23年度事業報告でございますが、資料の方は5Pから8Pでございます。初年度の4大テーマは「組織の発足と充実」、「交流・連携の促進」、「基礎的な広報素材づくり」「国等への提案事項の研究」ということでございました。

まず発足総会を昨年6月7日に東京・都道府県会館にて開催いたしております。
 次に、未入会の市町村がいくつか残されておりますので、それへのアプローチをおこないました。
 また、各地域を訪問させていただき、交流会を開催して参りました。市町村訪問は20、地域交流会は14回となっております。
 6Pの(3)、今帰仁の山内(やまのうち)さんが管理人をして下さってますメーリングリストなどもあわせまして、会全体が少しずつこなれた感じになってきているのかな、という感じがいたしております。

 メンバー間、地域間の連携事業も少しずつですが、始まっております。
 
例えば、6Pの4ですが、今日おこしの奈良の辰己さんが各地域とマスコミとの交流会を主催して下さいました。人脈を公開し、共有化していこうという、素晴らしい試みだったと思います。
 同じく(2)は地域間連携の例でして、法隆寺の門前で開かれた斑鳩市に各地のゆるキャラが集合いたしました。写真右側、前の丸いのが南砺市のナントくん。後ろのお城がついたのは姫路のしろまる姫でございます。
 こういう風に、それぞれに無理のない範囲でイベント等に協力して、互いのPRもしようという、そういった事業もこれからどんどん増えていけばいいなと思っております。


 次に7Pですが、民間メンバーの手によっても、少なくともこれだけの事業が実施されております。
 お越しの皆さまの分のみご紹介しますと、上から5番目が大社幹事、6番目が日光の岡井さん、9番目が京都新聞の齊藤相談役、その下が城之内さん、熊野の多田さん、奈良の辰巳さん、その2つ下が交通新聞社・トレたびの冨岡さん、下から3つ目が姫路の中山さん、そして2つ目が旅行読売の宮本さん・・・こういった方々が、それぞれ関係された内容になっております。
 実はここに記載させて戴いたのはメーリングリスト等を通して、私どもが把握しているものだけでございますので、実際にはこの何倍もの事業が実施されていることと思います。 

 これからは様々な試みの際に、必要に応じ、各メンバー間でできるだけスムーズに「WIN―WINの関係」を築いていただけるような会にしていくことが1つの課題です。
 また官と民、民と民、地域と地域の事業を、できるだけ有機的に発展させていくことが、この会の大きな役割だと考えております。

 次に8Pに参りまして、内外への広報活動をおこなう際に「最低限このくらいのものはないとマズイでしょう」という、基礎的な素材を整えていくことが初年度の大きな課題でした。

 お手元にお配りしている会のパンフレットは主に、各地域が海外PR等をされる時に、世界文化遺産全体のPRもしてもらいたいということで、制作したものでございます。 

そしてHPや12地区の写真パネルもとり急ぎ制作いたしました。
 パネルの方は交流会場でご披露いたしますが、スクリーンを使いHPの方を簡単にご説明させて戴きます。

 (@TOPページ)まず、TOPページのこの部分は12地域のスライドショーです。1人の写真家の作品によって統一感を出したいということで、会のメンバーで世界遺産写真家の富井義夫さんの写真を使用させて戴いております。

 (A言語)HPの特徴の1つは言語数です。限られた資金の中で、どんなことが一番各地域に貢献できるのかなと考えまして、日本語含め11言語で各地域を紹介しています。日本語、英語、中国簡体語と繁体語、韓国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ロシア語です。

 (B日光)各地情報のページですが、日光です。このような感じで、11言語にて各地を紹介しております。多くの地域は相当な複数言語のページをすでに持っておられます。そこで、そこへのリンクを充実させることにより、最終的には日本の世界文化遺産のポータルサイトのような感じにもっていければと思っております。

 (C奈良)同じく奈良のページですが、左側の金色の文字は各国語別のリンク先でございまして、各地情報はもちろんユネスコ、文化庁、政府観光局などにも飛べるようにしております。政府観光局との相互リンクに関しましては、会のメンバーの澤田さん、谷さんに大変お世話になりました。また、お持ちの所については、このように動画情報も取り入れております。

 (D白川郷・五箇山)同じく白川郷・五箇山のページです。HP全体のコンセプトについては、12地区を羅列するだけでは面白くないというということで、「世界遺産でたどる日本史」ということにしました。発足総会の際に、今日お越しの熊倉さんから戴いた「日本史の教科書を作ってはどうか」というアイデアを拝借させて戴いております。

  (E世界遺産でめぐる日本史)このように12地区をやや強引にではございますが、6世紀、7世紀、8世紀、12世紀、15世紀・・・という具合に、時代順に並べ、「通しで読めば日本の歴史が大体分かる」という作りになっております。

 (Fスペイン語をクリック)例えばスペイン語版の「世界遺産でたどる日本史」はこんな感じです。

  (HTOP→会の説明)それと、会の活動についてはできるだけ情報をオープンに、議事録や資料、またメンバーの皆さまのプロフィールについても、できるだけここに掲載させて戴いております。

 HPは今の所、こんな感じです。ただ今、これを進化させて下さる管理人を募集中ですので、これを進化させて下さる方、我こそはという方いらっしゃいましたら、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 (画面オフ)

 では、再び資料の方に戻って戴きたいと思います。

制作物の続きですが、お手元にあります「観光ゴミ持ち帰り用ステッカー」も作りました。これも発足総会でのアイデアを取りあえず形にしたものでございます。

 最後に8Pの8番。これは正確に言いますと、会の中の市町村長会のお話ということになりますが、イタリアにあります「世界遺産特別法」などの勉強会を2月に京都で開催いたしました。世界遺産特別法につきましては、その時の講義内容も含め、お手元資料の「世界遺産の永続的保全と、その持続的活用を目指して」の冊子、本日要望活動に使用したものですが、その後ろの方、資料3におつけしております。

 また、その他としまして、昨夏に大きな台風被害がありました「紀伊山地の霊場と参詣道」の復興ボランティアツアー、本日お越しの多田さんが主催されたものですが、そういったところにも参加させて戴いております。

 昨年度の活動は以上のような所です。本日の要望活動もあわせまして、1年かけてようやく何とか・・・「初期設定」が完了したかなという感じを持っております。

 
 続きまして議案2の平成23年度決算報告に参ります。

 
決算報告と言うほど大層なものではないんですが・・・収入は設立支援金、懇親会費、立て替え金。支出の方はほとんどの部分をメンバーの所属団体や調査研究関連の業務の一環で処理しておりまして、会の会計に直接関係いたしましたものは、それぞれ61万2292円でございます。

 支出にある総会開催費が192000円。収入の※1に対応しております。また懇親会、打ち合わせの費用が238815円。これが収入の※2に大体対応しております。以外に消耗品費40537円、入場料等が4250円、旅費交通費が132120円となっております。

 次のページには、参考資料として今日お越しの毛利審議官の所の調査の一環でやらせていただいた研究会や、基礎的素材の制作費を掲載しております。会として国のお金の応募要件を満たしていなかった関係で、この部分については歴史街道推進協議会が受託した調査の中に、世界遺産を紛れ込ませる(笑)という形になりました。

 研究会関係に約21万円、写真借入が26万円、10言語への翻訳が53万円、パネル制作10万円、パンフレット57万円、HP42万円、ゴミ持ち帰りステッカーが26万円ということで、合計が2354696円となっております。

 数字のご説明は以上でございます。

これを見られて、なんと心細い財政状況だなあと驚かれた方もいらっしゃるかも知れませんが、まあそこは発想の転換だと思います。NPOでも何でも、この種の組織の立ち上がり時期と言うのはこんなものかも知れませんし、資金がなくてもこの程度の事業なら最低限できるということでございましてそういった意味では、会の持続性が「はからずも」保証された1年であった(笑)ようにも思います。

 もちろん財政の強化、安定化、あるいはきちんとした独立化、また将来にわたっては事務所や法人格をどうする・・・といったことなどなどは、この何年間をかけて話し合われるべき、大事なテーマだと認識しております。

 議案2のご説明は以上です。

 

 (門川会長)

 有難うございました。ただ今のご説明につき、ご質問などがあればよろしくお願いいたします。

 ・・・それでは後ほど、改めて自由な議論をしていきたいと思います。

国土交通省の毛利さん、大変有難うございました(笑)。では監事の寺田さん、監査報告をお願いします。


  (寺田監事)

 決算数値や領収書等の証票類につき監査いたしましたが、この数字の通り適正に処理されていましたので、ご報告申し上げます。


 
 (門川会長)

  有難うございます。非常に限られた予算の中で着実に成果があがっていることがよく分かりましたが、昨年度の事業と決算につき、よろしければ拍手をもってご承認いただきたく存じます。

  <拍手>

 
 (門川会長)

  次に議案3、今年度どういう活動をしていくかについて井戸さん、簡単に説明して下さい。



 (井戸) 

議案3、今年度の活動予定についてご説明いたします。

これは現時点で「このくらいのことはできるだろう」と思っていることでございまして、本当はもっと色々なことができればいいなぁとも思っているんですが、今年度の大きなテーマは第1に「国への提案活動開始」、次に「連携・交流」あるいは「地域・官民協働事業」を軌道に乗せて行くこと、そして最後が「ユネスコ世界遺産条約40周年への対応」といったことだろうと思います。

  まず、国への提案活動につきましては、本日午後、一部変更がありましたが、11Pの1に書かれております各所を訪問させて戴きました。お手元の「世界遺産の永続的保全と、その持続的活用を目指して」というのが、その際に使用した資料でございまして、2P3Pに各地がそれぞれに抱えてらっしゃる問題点などをまとめております。

次に、2から5は予算があろうがなかろうがそれなりにできる事業でございまして、「世界遺産特別法」の研究、3の会のメンバー充実、4・5の情報交流の活性化などに継続的に取り組んで参ります。

同じくお金がかからない各地域連携事業としましては、6の(1)観光ゴミ持ち帰りステッカーの貼付や(2)の海外PR時のパンフレット活用などにできるだけご協力戴きたいと思っております。

  6の(3)以下につきましては、予算がどのくらい獲得できるかによって大きく変わって来る部分ですが、ビジット・ジャパン・キャンペーンなどとの連動や、あるいは海外の政府観光局や日本大使館等の拠点に12地区のパネルをご提供し、末長くご活用願う。そんな事業ができればと考えております。

それから、ユネスコ条約40周年会議の際にどんなことができるかについても同様に、予算次第の所がありますが、お越しになる方々に日本へのいい印象を持って戴くことはきわめて大事なことでありますし、これは私たちだけではなく、12地区に続く地域のためにも大変意義のあることだと思っております。

会としてのおみやげをご用意したり、展示などを通して歓迎の意思表示や各地域のPRができればと考えています。

ご説明は以上です。


 (門川会長)

 有難うございました。あまり固く考えすぎないで、創意工夫をしながら1つ1つ形にしていくということが大事だと思います。一応、議事でございますので、本年度の活動についても、よろしければ拍手をもってご承認いただきたく存じます。

  <拍手>






 (門川会長)

では、これから意見・情報交換に移りたいと思います。
 まずは、新メンバーを代表して戴き、平泉町長さんから一言ご挨拶をお願いします。

  (平泉・菅原町長) 

皆さんはじめまして。平泉町長の菅原です。
 昨年6月にこの会が発足される際に「来ないか?」「入らないか?」と誘われたんですが、正式に世界遺産になってから加入させて戴きます、ということで今回初参加となりました。
 昨年の今頃はパリにおりましたが、最後の最後まで本当に心配で、実は同じ会場で城之内さんがコンサートをされていたのは知っていたんですが、聴きにいくこともできませんでした(笑)。
 東日本大震災という大変な状況の中での登録となり、これから平泉をどう守っていくかということに加えて、平泉を使ってどう東北を復興させていくかとい問題についても、周辺地域とともに頑張っております。 
 各地の皆さんとの情報交換の中で色々勉強したいと思います。どうぞよろしくお願いします。


 (門川会長)

有難うございます。東日本大震災の中で、平泉の登録が多くの方々に元気を与えました。これからも是非頑張っていきましょう。
 では、副会長の奈良市長さん、一言お願いできますか?

 (仲川副会長) 

奈良市長の仲川です。
 京都市長を中心にこのような会を結成いただいたことに、まず御礼を申し上げたいと思います。
 今日は要望活動にもご一緒させて戴きましたが、「各党派またがって世界遺産特別法を作ろう」「国として世界遺産の問題に取り組んでいこう」といった力強い発言がありました。
 もちろん国の財政状況は十分理解していますので、国にだけやってくれというのではなく、地元も精一杯この問題に取り組むつもりだ、ということも申し上げました。

 奈良の場合は古都奈良の文化財として登録されている訳ですが、大先輩が築かれたものを保全・継承していくことはもちろんですが、それを世界に発信していくこと、また観光面での活用をおこない、新たな産業を生み出していくことが、我々現役世代の果たすべき役割と考えています。
 官民が集うこの会には大きな意義があります。行政はもちろんですが、民間の方々からの色々なご提案を戴き、相乗効果が出るような活動をおこなっていきたいと思います。


 (門川会長)

有難うございます。
 同じく副会長の日光市長さん、東日本大震災では風評被害なども出て大変だったと伺っています。現地の状況なども含め、一言お願いします。

(斎藤副会長:日光市長)

日光市長の斎藤です。
 日光の現状についてですが、先ほど平泉町長さんが東日本大震災のお話をされましたが、この1年は本当にそれに尽きるという感じでした。
 日光には1130−40万人の観光客がありますが、震災から3カ月は本当に誰もいないような状況でした。
 その後、地元が一体となって、各方面への呼びかけをおこないました。
 私も台湾・韓国などに行き、また国内的には例えば修学旅行・林間学校だけで34−5万人の方に訪れてもらっていますので、そういった方々にも、日光の「安全・安心」を呼びかけました。
 放射能の拡散数値を徹底的に測定し、それをきちんと公表して「安全ですよ」という呼びかけをおこなってきましたが、頭では分かって戴いてもなかなか心の中の「安心」にまでは届かない、そういった辛い時期もありました。

 しかし、そんな努力がある程度実を結び、昨年12月には約8割の観光客が戻ってきました。
 1つ気づいたことですが、地震による文化財への被害は小さなもので、その建築技術がいかに素晴らしいものであったかを、今回の地震が証明したようにも思いました。
 最後になりますが、このような会を作って戴いて、本当に有難うございます。
 皆さんとともに引き続き頑張って行きたいと思います。



 (門川会長)

 有難うございます。
 南砺市長さん、いかがですか?

 (田中・南砺市長)

岐阜県の白川村と富山県の南砺市にまたがって登録されています。今日は白川村長さんお見えでないので、私が話させて戴きます。
 合掌集落の過疎化問題、高齢化問題は深刻です。
 小さな集落で茅を作り、住民みんなが協力して守ってきている訳ですが、その価値や意義を市民が理解することは当然として、国民の皆さんにも十分理解してもらいたい。
 もっともっと多くの国民の皆さんに世界遺産の価値、それを守っていくことの価値をご理解いただきたいと思います。

 この会に一緒に関わらせてもらい、今日の国への提案活動では「超党派で世界遺産特別法を」といった話が出ました。このことの意義は非常に大きなものです。ユネスコ条約40年を機にそういったことができればと思います。
 官民からなるこの会の存在を誇りに思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。



(門川会長) 

有難うございます。
 ではご来賓の方々からも会の活動へのご感想やご提案をお願いしたいと思います。まず、毛利審議官。

(国交省・毛利審議官)

昨年6月に初めて世界遺産地域が連携する会ができるということで、非常に注目していました。
 今、私が主管しているのは国土形成計画、いわゆる昔で言う全総ですが、来年是非、こういった会への支援策が作れないものかと研究しており、今日は勉強するつもりで参加させてもらいました。
 この組織にはいい人材もいらっしゃるので、期待しています。



  
(門川会長)

有難うございます。実はこの毛利さんは元・京都の副市長で、歴史的景観を守るために高さ規制を作ったり、電照看板の禁止、眺望景観の確保など様々な革命的な仕事をご担当戴いたすごい方です。

 上野室長からもどうぞお一言。

 (国交省・上野室長)

歴史文化を活かした地域づくり、特に文化財行政と一緒になって、縦割りではない形で地域づくりをおこなうための「歴史まちづくり法」を所管しています。
 世界遺産を活かしたまちづくりを精一杯応援したいと思います。



 (門川会長)

 観光庁の志村審議官、いらっしゃったばかりで悪いですが、一言お願いできますか?

 (観光庁・志村審議官)

 世界遺産は観光資源としても、とても大きな存在です。
 放っておいても人が来るという面があるかも知れませんが、世界遺産をストーリー立てて繋ぐこと、また顧客の視点に立つことが観光振興面で重要だとも思います。
 そういった部分で観光庁としてお役に立てることがあると思います。
 この会と連携しながら、観光立国に取り組んでいきたいと思います。

 
 (門川会長)

有難うございます。それではここからは各地からの情報やご発言を戴きましょう。後ろのパワーポインターと連動しておりますので、この通りに指名せよということですので、そうさせてもらいます。
 まず、大田市の大國教育長。

 (大田市・大國教育長)

今日、文化庁でもそういう話になりましたが、持続可能、サステナビリティというのがキーワードだと思います。
 持続可能な観光、持続可能な文化財行政。石見銀山は世界遺産の中では最も観光客が少ない場所ですが、そういったテーマに一生懸命取り組みたいと思います。



 (門川会長)

姫路市の岡本理事、いかがですか?

(姫路市・岡本理事) 

姫路城では今、文化庁の協力を得て、日本初の天守閣大修理の公開に取り組んでいます。
 工事を通し、色んな問題が出てきます。今ある補助制度についても色々と充実・整備していくべき部分があることがよく分かります。
 来年は世界遺産登録から20年です。記念行事を予定しております。
 また平成27年にはお城が生まれ変わります。是非、姫路にお越し下さい。



  
(門川会長)

続いて大津市さん。先ほどの要望活動までは越市長、ご一緒だったのですが、井上部長さん。

(大津市・井上部長)

古都・京都の周辺遺跡として比叡山・延暦寺が世界遺産登録されている、大津市です。
 
全国最年少の女性市長である越市長のマニフェストには「観光に力を入れる」と書かれています。
 
世界遺産である比叡山をアピールしていくことは当然大事なのですが、大津には以外にも価値ある寺社などが多数あります。これらをどうネットワークして売り出して行くかが一方の課題です。
 また京都市、奈良市など周辺地域とどう一緒に頑張っていくかも重要なテーマです。


(門川会長) 

広島市さん、いかがでしょう?

(広島市・福本次長) 

皆さんに伝えてくれというメモを預かってきましたので、それを読ませて戴きます。
 原爆ドームの最大の問題がその耐震性確保にあることは、資料にもあった通りです。
 そこでこの点につき、昨年から今年にかけ協議しており、その結論に基づき、来年度から対策を打って行きます。
 また、昨年12月から3月にかけて、平成4年以降3年ごとに実施している経年劣化調査を実施しました。
 今回が7回目となり、経過については特に大きな問題はなさそうです。

 今月中に正式な調査結果が出、HP等での公開を予定しています。

 

(門川会長)

 有難うございます。廿日市市さんお願いします。

(廿日市市・和田観光課長) 

宮島、厳島神社がある廿日市市です。
 昨年の来島者数は363万人と過去最高でしたが、今年の1−6月期はそれを上回る勢いとなっています。
 ただ、その一方では4月3日に、突風で今スクリーンに映っています鳥居の上の方が破損しました。
 緊急になおさないといけないということで、資金の確保など含め大変でした。

 幸い6月末には修理が終わりましたが、今日、皆さまとご一緒させて戴いた世界遺産に関する予算や法制化が是非とも必要だと思いました。

 

(門川会長) 

沖縄県さん、よろしいですか?

(沖縄県・佐藤主査)

複数市村にまたがるということで、県として出席させて戴きました。
 世界遺産条約40周年を機に、各地域の連携がさらに進めばいいと思いますし、県内においては「琉球王朝のグスク」の関連地域がもっと連携していくことも大事と感じました。

 

(門川会長)

12地域の最後になってしまいましたが、紀伊山地の霊場と参詣道から、東紀州まちづくり公社さんお願いします。

(東紀州観光まちづくり公社・北村事務局長)

  三重県側の熊野古道を管理しています。
 登録後、順調に観光客も増えてきていたんですが、昨年9月に大型台風があり、古道の一部がなくなってしまった箇所が出るなど、大きな打撃を受けました。
 幸い観光客は8割くらいまで戻ってこられていますが、まだまだ復興途上です。
 自然災害に対し、ここの部分は手を入れておく方がいいなという箇所は、実は大体分かるものです。そこで手を入れておけば、予算は小さくても対応できるものが実は大部分です。
 しかし一旦今回のようなことが起こると、その復旧は大変で、費用もとても大きなものになるということを今回の災害を通し痛感しました。
 そういったこと含め、今日ご一緒させていただいた世界遺産に関する予算や法制度ができるなら、それに勝る喜びはありません。

 

(門川会長)

 さて、この場には世界遺産に関し一級の活動をされている民間の方々が多数、お集まりになっています。

各地からの報告に引き続き、民間の皆さまからのご意見、ご提案をいただきます。

どなたからでも結構です。挙手でお願いします。

・・・身内になってしまい恐縮ですが、京都新聞・前社長で相談役の齋藤さん、口火を切っていただけますか?

 
 (京都新聞・齋藤相談役) 

世界遺産という考え方は確かに広く市民にまで浸透してきているように思います。
 しかし本当に国民の多くがその価値、意義、課題などを理解しているかというと、まだまだだという気がいたしておりました。
 そこで、正月から特集記事の連載を始めました。京都新聞だけでなく、世界遺産を持つ各地の新聞社とも連携し、各地からの情報を紙面にしています。
 世界遺産というのは、例えば学校の教科書とかにも載っているんですかね? もしそうでないなら、そういったことも必要だと思います。
 様々な課題解決に向けて、全国の世界遺産地域が連携し、また関係者が協力することによって、新しい運動にしていくことが大事だと思います。

 

(門川会長)

非常に深みのある記事を作って戴いています。新聞協会賞でも狙ってらっしゃるんでしょうか?(笑)
 教科書のことは文部科学省とも相談してみます。

後に交流会もありますが、できればこの場でという方、いらっしゃいませんか?

 
 (大社:NPOグローバルキャンパス理事長)

幹事をしている大社です。日本観光協会では観光まちづくり担当の理事もやっております。
 着地型観光に20年前から取り組んできましたが、ここ10年くらいで大きな変化が出てきています。
 10年前は観光関係者とそうでない人々の間には大きな溝がありました。どの観光地にも、観光客なんか迷惑だという市民が少なからずおられました。
 が、今ではそんなことはなくなりました。裏返せば、地域内需要だけでは地域経済が回っていかなくなっているということかも知れませんが、商工会議所でも今年のテーマは観光だという所が増えてきました。
 反面では先日、後藤さんとある伝建地域に行きましたが、人口300人で産業がなく、ゴーストタウンのような美しい町になっている、といった例もあります。
 つまり、地域としてどううまく観光を使うか、ということが問われているのです。

 先ほど少しご紹介戴きましたが、旧来の行政の壁を取り払い、観光事業者だけではなく住民全体で観光まちづくりを進める視点が重要だということで「観光まちづくり推進機構」を発足させました。
 是非、この会とも一緒に勉強していきたいと思っています。

 

(門川会長) 

幹事の工学院大学、後藤先生はいらっしゃってますか?

(後藤:工学院大教授)

先般、「規制・復元から活用・マネジメントへ」という論文を書きました。
 東日本大震災の被災地など特にそうですが、底辺の文化財が相当傷んでいるということに問題意識を持っており、本来はもっとそういったことに、大勢の人が参加できるような仕組みが必要なのだと思います。
 先ほどから文化財を観光的に活用するといったお話が出ていますが、文化財の活用はそういったことだけではないのではないか?
 例えば町で守ってきた寺社が文化財になれば、町全体の防災にも役立ちます。
 
世界遺産があって、文化財法があって、歴史まちづくり法があるというのは実は順序が逆で、歴史的まちづくり法があって、そこに文化財があって、その中に世界遺産があるといった姿が本来の姿じゃないかという気がします。

  
 (門川会長)

有難うございます。ほかに是非ともこの場でという方、いらっしゃいませんか?
 城之内ミサさん、いかがですか?

 (城之内:音楽家、ユネスコ平和芸術家)

 城之内です。会のメンバーに加えて戴き有難うございます。また、ご推薦いただいた松浦先生にも感謝いたします。
 私は世界遺産の専門家ではありませんが、現在あるものへの畏敬の念、尊敬の念をもち、様々な国・地域のミュージシャンと音楽を通してそれらの素晴らしさを伝えていく活動をしています。
 草の根の地道な活動ですが、世界遺産、自然、命・・・そういったものの素晴らしさが、音楽を通して伝わればと願っています。
 どうぞよろしくお願いします。






 (門川会長)

有難うございました。
 引き続き交流会もありますので、以外のお越しの皆さまからはその場で、是非お一言ずつ近況やご提案を伺いたいと思います。
 それでは最後になりましたが、会の顧問をお願いいたしました松浦さんより、昨今の世界遺産をめぐる状況や、会へのご提案をいただければと思います。
 15分という短い時間で大変恐縮ですが、松浦さんよろしくお願いいたします。

 

(松浦顧問)

皆さんこんにちは。
 このような会ができたのは私にとって大変嬉しいニュースで、喜んで顧問をお引き受けさせて戴きました、松浦です。
 先ほどから世界遺産を持つ各地域の皆さんのご報告や、ご関係者の世界遺産に関する思いを聞かせていただき、大変いい会だなという印象を強くしております。

 また、今日も度々話題に登っておりますように、今年は世界遺産条約ができて40年です。
 そしてさらに言えば、日本がそれを批准して20年ということになります。

 なぜ、20年にもわたって日本がそれを批准しなかったのかという気がいたしますが、加盟後は各地でしっかり対応戴き、また委員会にもしっかりとした資料が提出されるなど、ユネスコ内における日本への評価には高く、大変嬉しく思っています。

 さて、私がこのテーマに本格的に関わり始めたのは、フランスで大使をしていた時代からです。
 今ちょうどロシアで世界遺産会議が開かれていますが、従来は日曜から日曜までという日程でした。が、それだけではとてもこなせないということで、今は2週間になりました。

私が議長をしていた時代から、それまでは新しい登録をどうするかということが議論の中心だったのが、1週間で新規登録について、さらに次の1週間で各国から登録された箇所の保存状況に関する報告を受け、それに基づき議論するという形になりました。

 世界遺産というとどうしてもそこに登録されることが第一目標になりがちですが、それはあくまで第一目標に過ぎません。
 条約の精神としては当然、それらをどうきちんと保存していくかが、さらに重要なことなのです。
 持続可能な形でその活用にも取り組み、次世代に引き継いで戴かないといけない。
 そして、そのための大きな役割を担うのが、世界遺産に関連する各地域の皆さんです。

そういった意味で、ユネスコ条約の主旨からしても、この会の存在意義には大変大きなものがあると思っています。
 

世界遺産をめぐる最近の話題についても少しだけご紹介しておきます。
 
 世界遺産の数はこれまでが936。これが今回26増え、962になる見込みです。

 
今回の26を見てみると、最も話題になっているのはイエス・キリストの生誕地とされるベツレヘムでしょう。
 文化も政治的な影響を避けて通れない面があります。ベツレヘムの場合はパレスチナが世界遺産条約の批准国でない、あるいはその前提として独立国でない、といった問題が指摘されました。
 が、パレスチナは昨年10月にユネスコの「加盟国」になり、登録をめぐっては異例の投票が行われました。
 結果3分の2の賛成で登録が認められた訳ですが、19カ国中6カ国は反対票でした。


 国内のことについては、今年は日本からの登録案件はありません。
 鎌倉、富士山を正式に推薦していますが、夏の終わり頃にイコモスの調査があり、それを基にした議論を経て、4月か5月に報告書が出てきます。
 来年カンボジアで開かれる世界遺産会議にかけられることになりますが、登録の暁にはこの会のメンバーにもなってもらいたいと思っています。

 
 また、今年11月には世界遺産条約40周年の会議が日本で開かれます。

 世界遺産は確かに世界的に人気があるけれども、色々な問題も抱えている。これを今後どのようにもっていくのかの議論がされるものと思います。

 ホスト国としてそういった方向づけに積極的な貢献を行っていくことが期待されていますので、各地域においてもよろしくご協力願いたいと思います。

 
 最後に、繰り返しになりますが、世界遺産に登録されること以上に重要なのは、それらをどうきちんと保存していくかということです。

そのためには、すでにそれに登録された地域がどういう行動を起こすかが重要です。

この会の活動を通して是非、世界遺産の保全と持続的活用に関する情報や意見を積極的に交換し、またそれぞれに助け合って行ってもらいたいと思っています。




(門川会長)

松浦顧問、本当に有難うございました。
 それでは「世界文化遺産」地域連携会議、平成24年度の総会を閉めていきたいとと思います。
 副会長の斎藤日光市長さんに閉会のご挨拶をお願いいたします。

 (斎藤副会長)

 本日は多くの皆さまにお集まりいただき有難うございました。
 慎重な審議、活発な情報や意見の交換に加え、松浦顧問からのご講話を戴き、有意義な時間だったと感じております。
 貴重な世界遺産をどう次世代に引き継いで行くか、またそれを活かしてどう地域振興を図るかなどにつき、これからも知恵を出し合っていければと思います。
 ご関係者各位のさらなるご活躍を祈念し、平成24年度「世界文化遺産」地域連携会議総会を閉会したいと思います。
 本日は誠に有難うございました。

                                                   (了)

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