「世界文化遺産」地域連携会議

「世界文化遺産」地域連携会議 設立趣意書

 わが国が世界遺産条約を批准したのは1992年、また、第1号の世界文化遺産として姫路城と法隆寺が認定を受けたのは1993年のことである。

 以降20年近くの間、「顕著な普遍的価値」を持つ文化遺産としては11箇所が登録され、各々の課題を抱えつつもその維持保全や周辺整備、あるいは「持続的な観光」の推進といったテーマに取り組んできた。

 しかし、残念なことに、世界文化遺産に関連する各市町村間で遺跡の保全やそれを核としたまちづくり、観光のあり方等について日常的かつ広範に情報交換し、互いに啓発しあっていくような場は十分に設けられてこなかった。

 世界文化遺産を持つ地域は全国各地に及んでおり、その内容、規模、範囲などにはそれぞれの個性が見られる。

 だが、各地域は明らかに共通する、大きな課題を抱えてもいる。

 文化遺産の維持保全については、いかに百年千年のスパンでそれを達成していくか。

 文化遺産を核としたまちづくりの長期計画を作成し、それをどう形にするか。

 観光に関しては、世界文化遺産の魅力をいかに発信するか、また時間の経過にともなう「ブーム」の衰退や観光客増がもたらすマイナス要因をどう捉え、「顕著な価値の普遍性」を次世代に継承していくか、といった点などである。

 まず必要なのは、各地域が過去おこなった取り組みやこれからのビジョンを披露しあうことを出発点に、相互に応用可能なヒントを探り出していくといった作業であろう。

 各関連市町村のトップが一堂に会し、また日常的な交流を始めて行くことの第一の意義は、各方面での理念、ノウハウ、情報などの共有と相互活用にある。

会を発足させる二つ目の意義は、世界文化遺産に対するより広範な支援の獲得である。

 民間セクターとの関係においては、例えばメディアや旅行会社、スポンサーといった協力者に対する共通の窓口を設けておくことにより、支援の輪を大きく拡大していくことが期待される。

 一方で、国において世界文化遺産の存在を強く意識し、地元におけるその維持・保全・活用への努力を十分に把握・評価しているのは今の所、文化庁内だけにとどまっている。

 いわゆる省庁間の縦割り意識の下、例えば遺産周辺整備などに対する、政界や他省庁における理解・認識はまだまだ不十分なものに過ぎない。

 また、世界文化遺産は「観光」の語源となる「国の光」の最たるものとしてすでに国際的認知を得ているが、「観光立国」を旗印とする観光庁においてすら、それらを積極的に評価・支援・活用していく気運は十分とは言えない。

 会の結成が目指す第二の点は、各関係地域が共同行動を起こし円滑な外部支援を受ける体制を作るとともに、国等に対して広範な提案をおこなうことによって、やや行き詰まり感を見せ始めている現状を打開・改善していくことにある。

 そして第三の意義は「無理のないゆるやかな連携」の中で、地域自らが様々な共同事業を形にし、各地域のさらなる活性化や事業支出の効率化を図っていくことである。

 大きな資金負担なしに実現可能な共同・連携事業は多数、考えられる。参加意思をもつ地域間での事業(例えば海外・東京などでのPR活動)、複数地域に共通するニーズを満たすための事業(例えばイベントやゴミ持ち帰り運動)、ある地域が企画する事業(例えばシンポジウムや市民交流)に会や他地域が協力していくことなどである。

 わが国の文化・観光を振興し、新しい地域づくりを先導するという面でも、世界文化遺産に関連する地域が主体的に、何らかの共同事業・連携事業に取り組んでいくことの意義は大きい。

国土交通省国土政策局「国土数値情報(世界文化遺産)」をもとに、世界文化遺産連携会議が加工しました。

国土数値情報約款

World Cultural Heritage (Japan) 日本の世界文化遺産